混ぎれるように街の雑踏の中を歩いていると
つい自分の自分らしさとは何だろうと思ってしまう
こんなにも多くの人がいるのだ
その一人一人が的を得た自分らしさを見つけて
そんな自分を生き抜くことなど出来るのだろうかと思ってしまう
では何かの衣を借りて衣を装う生き方はどうだろうか
見つけなくて良いだけラクではあるがそれはダメだろうとすぐ判る
最初に借り物という制約がある時点ですでに致命的なのだから
やはり投げ出して逃げるということは偽わるということと同族だ
躓いても苦しくても哀しみの淵に落ちていたとしても
何かを演じて生きることは愚かな過ちなのだと断定する必要がある
人生に定式化させた小手先のアルゴリズムは通用しないと知ろう
そもそも人間には
自身を欺いて生きる完全犯罪など成立しないのだ
譜奏435