習慣性の強い夢を思春期に得て
私はケモノ道さえ無いような雑林の中を強引に駈けて
どれだけ行けば何があるのかを考える思慮もなく
ただ目前のものにぶつかるように進んできた気がする
それが私の青春だったと言えばそう言う他ない
ある時身体の中なのかまたは別のどこかなのか
何かしらのダメージが残っている自分に気づいたことがあった
私は得体が知れないものを実感することに恐れて
懸命に意識語に変換しようと自身を探る作業を繰り返したが
それは探せば探すほどに遠ざかっていくもののようだった
解らないことは解らないのだからと投げ出していたある夜
私は夢で延々と街路樹が続く道を歩いて行く自分の姿を見て愕然とした
そこには決して等身ではない見知らぬ影が
異身のようにしなやかに私と対になっていたからだ
譜奏422