穏やかに見えるのに決して抗えない
今過ぎゆくこの時間が
何か憎らしく思えて私は何かの印を残したい衝動にかられて
部屋を見回してまずはカーテンのタッセルを外し
返し刀で古いワンピースをつまんでハサミを入れて
たくさんの瞼柄のような穴を開けたのだけれど
まだまだ物足らない気が治らなくて
昨日作った茹で卵に油性のマジックで
最初は顔のようなモノを書いていたのだけれど
気味の悪い感じになったので黒に赤と青を足してみたら
何かイースターの飾り卵のようになったので
どうせならと思って私は赤で全体を塗り潰していた
明らかな奇行である
マダラな見た目の悪い色具合がそれを物語っていた
祭りの仮装を作り損じたような少しもの悲しい夜だった
譜奏406