2019年7月15日

一人で生きるようになって

両親のことを思い出す時

いつか踏みつけたスミレの香りが私の胸に充満していく

誰よりも両親が誇りに思える生き方をしたいと

私はただ願い誇りの目を背に意識して生きてきた

古いマッチ棒を擦って親指と人差し指で押さえて火を消した夜

2本の白い煙線が歪んでいく姿に涙があふれた

あと何本残っているのだろう

あの日両親の目を盗んで手のひらに隠した小さな罪の火種は

ドアが開くと暗い外を背に入ってきた人がただいまと言い

料理を作っていた人がおかえりなさいと玄関に向かい

わたしは飛び上がって喜んでまとわりついた後にもう寝なさいと言われ

ズルい!と言って口をへの字にしたあと淋しくなって思い直して

おやすみなさい、またあしたね!と言って階段を駆け上がっていった

 

譜奏402