一人で生きるようになって
両親のことを思い出す時
いつか踏みつけたスミレの香りが私の胸に充満していく
誰よりも両親が誇りに思える生き方をしたいと
私はただ願い誇りの目を背に意識して生きてきた
古いマッチ棒を擦って親指と人差し指で押さえて火を消した夜
2本の白い煙線が歪んでいく姿に涙があふれた
あと何本残っているのだろう
あの日両親の目を盗んで手のひらに隠した小さな罪の火種は
ドアが開くと暗い外を背に入ってきた人がただいまと言い
料理を作っていた人がおかえりなさいと玄関に向かい
わたしは飛び上がって喜んでまとわりついた後にもう寝なさいと言われ
ズルい!と言って口をへの字にしたあと淋しくなって思い直して
おやすみなさい、またあしたね!と言って階段を駆け上がっていった
譜奏402