残酷な蜂が飢餓の触角を動かすように
銀だけの絵を描き
絶望だけの物語を書き
明るい色のお菓子を食べ
オレンジジュースだけを飲めば
最後にはすべてがオレンジ色になり
オレンジの味しか残らない
過ちの蜜に心を動かされる性質は
性質とも言えない習慣だ
習慣ゆえに品位を誤魔化すことが皮膚化する
虚飾には虚飾を飾り重ねることが
一番効果的なのだから
貪欲を貪れば欲望の渇きが続いて止まらない
交互に揺れる触角のように止まらない
譜奏254
残酷な蜂が飢餓の触角を動かすように
銀だけの絵を描き
絶望だけの物語を書き
明るい色のお菓子を食べ
オレンジジュースだけを飲めば
最後にはすべてがオレンジ色になり
オレンジの味しか残らない
過ちの蜜に心を動かされる性質は
性質とも言えない習慣だ
習慣ゆえに品位を誤魔化すことが皮膚化する
虚飾には虚飾を飾り重ねることが
一番効果的なのだから
貪欲を貪れば欲望の渇きが続いて止まらない
交互に揺れる触角のように止まらない
譜奏254
もうすぐ閉店時間になる人もまばらなカフェ
すっかり冷めたモカの残りを飲んで立ち上がろうとする時
ツンと
鼻から額にかけていつもの匂いがして
私はいつもそこにいる知り合いに会ったように
苦笑いのように会釈する
匂いの主は若くて未熟だった私の衝動だ
親しくもならず記憶にもならず金属臭のようになって
主はこの条件の環境の時にだけ現れてくる
すごく長く過ぎた時間の何処かに
私はきっとうち捨てるように埋めたのだろうと思う
邪魔にしかならないその衝動の損傷のようなものを
しかし今はその不安さえやさしく私を包む
またここにやって来る私を知る待ち人のように
譜奏253