動詞を殺して
形容を飾る隠語は
偏愛を示し
不従順を犯した啓示は
導く場所を持たず
予期せぬ道に彷徨う
終える時を追うように
ゆらゆらと誠実に
感じるだけで触れられない
私の
テロメアの炎
あと何本を費やしたら私を
一瞬の蒼白い熱に光らせて
置き去ろうとしているのだろう
譜奏222
動詞を殺して
形容を飾る隠語は
偏愛を示し
不従順を犯した啓示は
導く場所を持たず
予期せぬ道に彷徨う
終える時を追うように
ゆらゆらと誠実に
感じるだけで触れられない
私の
テロメアの炎
あと何本を費やしたら私を
一瞬の蒼白い熱に光らせて
置き去ろうとしているのだろう
譜奏222
陽の光は見上げる人に未来を思わせて
高価な本を駄目にする
限りそのものが無いから物事に二面性の枠など収まらない
だから何をしても何を思っても良いけれど
嘘だけは死を覚悟してツくようにと
微笑みのように語った後
希望というのは曖昧な味しかしないから
千回盗んで食べても
最後に一回だけ絶望に捕まって
一回だけ死んだらいいことだと言って
寝返りをうって遠い見知らぬ町に行き
名も知らないものを食べ安い無駄な本を読んでいた
昨日では手に入らない
明日には消える私
譜奏221
ピエロが起こしにくる朝に
消えていく声が誰かを呼ぶ音が聞こえる
渇いた砂風の中で立っていた
裸足のストリートオルガンの少年が見ていたのは
私の視界の中の夢だったのか
それとも夢の出口にいる私を案じていたのか
哀しみのような切なさのような無力な目を
私は負担に感じて逃れてきたような気がする
人が持つそれぞれの原景にはどのような起因があるのだろう
環境というプロセスはどれほどに人を囚えるのだろうか
風の声が私の名を呼んでいるような気がする
何処へ行けと言うのだろうと私は怯えて
また時を裂いて夢の入口を探そうとする
ピエロの木靴の足音に耳を塞ぐように
譜奏220
ターコイズ色の海に囲まれた森の物語には
生き生きとした動物たちと海の中の魚たちの幸せなお話が
咲き乱れる四季の花々のように描かれていて
私はいつか大人になったらその森で暮らしたいと思いながら
読んでくれる人の膝の上でその声を子守唄にするように
いつも最後まで聞くこともなく眠ってしまっていた
私がその物語の結末を読んだのは
その本のこともすっかり忘れていた引っ越しの朝のことだった
手と目に記憶の息を止められて思っていたのは
おとぎ話には必ず悪魔が登場してくるということだった
帯びたアプリコットの芯が徐々に媚びを緩めて
剥がれていくコンパッションになっていくように
もしかしたら私は知っていたのかもしれない
問い続けると死ぬ星のことを
譜奏219