2018年1月3日

時間が確かに過ぎていったことを

証しし得る者はいない

記憶の堆積と数字の化身とただ彷徨うだけの感情

そしてそのすべての残骸

人は辿ったことを表わす力を持たない生物なのだ

閉じようとした祈りの息が落ちるはずのこの手に

空間が曖昧な歪みを見せた後

私は同じ波長を探すようにつぶやく

私は私の命が尽きたら

砂浜に一重に消える波になりたいと思っていたと

そしてやがて夜を見上げる潮汐に重なって

背を向けた月から遠ざかっていこうと

私は悪意のように

希っていたのだと

 

譜奏163

2018年1月1日

何かに迷いながら雨の降る日がくると

誰かが後ろから手を被せるように

私の耳鳴りが始まる

静止画面に止められても

時間が止まる訳でもないのにと

私の中の傍観者が諭すように誰かに話しかける

その敵意のない声さえ

私には聞き取りにくいものになっている

心に完全受容するHzがあるのなら

私は立ち止まらない確かなリズムを踏み出して

或いは能動的に駆け出していくのかも知れない

その能動がフィルムの一コマでしかないと

どこかで感じていたとしても

その道が獣さえ行かぬ迷い道だと気づいていても

 

譜奏162