2018年11月2日

カノンコードのリフレインを受け入れる刻

謂れのない絶望を感じていた私の苦痛が

追うように繰り返される甘美なセブンスを

変化のように待っている自分自身の希望に因るものだと

不意に胸に落ちた夜

私は私だけが居ない時でも奏でられ続けてきた音の絵を

破り棄てなければいけないと思い

微熱を感じるOFFボタンに人差し指を立てて

そして動けなくなっていた

ONを示す赤い微光が私のすべての視界を占めて

私自身をも奪っていくように私と目を合わせていた

あなたは絶望のあとに何を得たいのかと問うように

次のセブンスまでの短いフレーズが始まっていた

私は何事もなかったように忘れていた息を吐いていた

 

譜奏293