カノンコードのリフレインを受け入れる刻
謂れのない絶望を感じていた私の苦痛が
追うように繰り返される甘美なセブンスを
変化のように待っている自分自身の希望に因るものだと
不意に胸に落ちた夜
私は私だけが居ない時でも奏でられ続けてきた音の絵を
破り棄てなければいけないと思い
微熱を感じるOFFボタンに人差し指を立てて
そして動けなくなっていた
ONを示す赤い微光が私のすべての視界を占めて
私自身をも奪っていくように私と目を合わせていた
あなたは絶望のあとに何を得たいのかと問うように
次のセブンスまでの短いフレーズが始まっていた
私は何事もなかったように忘れていた息を吐いていた
譜奏293