信号の青のタイミングが悪い日
止まるたびに私は思ってしまっていた
主語が探せないリフレインのように
きっと明日には分かると
私は自分という人間を生きているはずなのに
一方で深い森にさ迷う心細さに抑圧されながら
何かを待っている自分を見ないようにして
その反動の力で振り返ることを忘れたのかもしれない
今日私は垂直で細い字を見慣れない人のように書いた
その文字をどうしたら消せるだろうと怖れた時
不意にフロントガラスに
何かを表わそうとするような雨が
はしゃいでいるかのように
一群の音符のように降り出していた
譜奏261