金彩の小さな型紙を指に挟んで黒の盤面に置いたら
目に焼きつくほどに輝いて私はしばし忘れていた
その偏形がパズルの一つのピースだということを
全ての形状には完成形が与えられていない
形は成立していると見せながらまた違う形に飲み込まれていく
ある意味では今ある形状の全てが完成されたものとも言える
卑屈に言えば不完全な形そのものが存在しないということだ
もちろん形状は目に見えるものだけではない
人の心も感情も動きながらはっきりとした形状を持つ
そしてその形状はいつも狭い門の前に立っている
何かを問うかのように何かを問われているかのように
しかしはっきりしているのはその門の鍵の形状が
人間がコーティングした真実というピースの
飾り形などになっていないということだ
譜奏260