2018年8月13日

道に横たわる人を一瞥して通り過ぎていく人波を外れて

私は注意深くその人に近づいて

小さないびきを聞いてほっとした気持ちになった

彼はただ酔い潰れていただけの人だった

都会ではありふれた光景だから

一々構う人はなくまたその必要もないのかもしれない

しかしあまりにも何もなかったような人波が

私にはひどく身勝手で憎らしいものに思えた

彼の身なりがみすぼらしいことも一瞥の理由だったのだろう

人間が苦心して進化させてきた文明も裏へ回れば汚れが目につく

この意識は利便だけを食べて示唆をゴミにしてきた人間の

不感の罪が流す下水なのではと思った

やや過剰とは思いながらもしも音楽と教会がなかったら

この国はもっと病みの中にいたのかもしれないと思った

 

譜奏258