2017年9月8日

私のおとぎ話は

絵本や玩具や片時も離れない縫いぐるみなどが

絵本は絵が

玩具は玩具が

縫いぐるみは縫いぐるみ自身が動いて

私の目に話しかけてきて

一緒に遊びだす特別な空間だった

その空間に一人でいたいと思うようになった寂しい夜

私に対価の憎しみを吹き込んできたのは

変貌していくことでしか流れない時そのものだった

打ち捨てられた波が脱塩していく時間のように

私は長い間その様子を眺めていた気がする

一生消えないと思える悪意を感じながら

私は何故か頬を緩めて微笑んでさえいたのだ

 

譜奏112