時の堆積の中にいた人と
心が途切れてしまった午後
私は乱れないリズムを打ちながら
初めてのカフェのテーブルに
手を投げ出した
気がつけば爪床が荒れていた
小さな血液を含んだ皮膚が
接しない点画のように
その色を哀しく見せている
生きるって何故
変質を繰り返すのだろうと思った
時を塞いで息をする力を忘れた
私のこの爪が
与えられた示唆であるかのように
譜奏45
時の堆積の中にいた人と
心が途切れてしまった午後
私は乱れないリズムを打ちながら
初めてのカフェのテーブルに
手を投げ出した
気がつけば爪床が荒れていた
小さな血液を含んだ皮膚が
接しない点画のように
その色を哀しく見せている
生きるって何故
変質を繰り返すのだろうと思った
時を塞いで息をする力を忘れた
私のこの爪が
与えられた示唆であるかのように
譜奏45
私が呼んでも
何度呼んでも
答えてくれない私が夢の中にいた
私が差し出した手は大きく
彼女の背は小さかった
忘れてきたのと
私は二度言った
一度目は声にならなかったから
白い霧のような風が吹いて
私の手は小さくなり
彼女の唇は紅く濡れていた
今度はその唇が私を呼んだ
なのに私は急いで
小さくした背を向けていた
譜奏44
―――――自分らしく生きるって
―――――自分らしいってなんですか―――――――――『クレヨラ』より
鈍くてもぼんやりしていても
お人好しで
気が弱くても
大人に行き着けば
人は誰しも
色んな事が見えてくるもの
もしかして人は人生は
卑しいメイクをして踊る
孤独なピエロなのだろうかと
ある日不安でピエロに問えば
彼は涼しい口で
悲しみの目で
ただ傲慢であればと
言った気がした
譜奏43
兆しもなく
私の湖面から流されて
冷やされた海霧が
失くした愛に
繁殖したら
海水は鎮められ
波が狂ったように
宙に引かれ
海は
月まで
流れていくの
青い涙の
人魚の祈りを
叶えるように
譜奏42