もしあの人の手があの時になかったら
もしその人の言葉がその時になかったら
過去にはそんな残骸が多く転がっている
偶然と必然
この双子のような大道芸人は
着ている衣装が違うだけなのに
巧みだ
人生を
人生と感じたい人の心に
媚薬のようにケリをつける
私はコインを投げて
喝采を送る
長い間構ってくれてありがとうと
言うように
譜奏13
もしあの人の手があの時になかったら
もしその人の言葉がその時になかったら
過去にはそんな残骸が多く転がっている
偶然と必然
この双子のような大道芸人は
着ている衣装が違うだけなのに
巧みだ
人生を
人生と感じたい人の心に
媚薬のようにケリをつける
私はコインを投げて
喝采を送る
長い間構ってくれてありがとうと
言うように
譜奏13
恋をセゾンと言い換えて
少し大人の女を
演じてみたかった
私の胸の
セゾン
流行り歌に傷むように
泣き虫ピエロの夜明けの路上を
記憶だけがシェアする夜を
思い流す夜
心が剥き出しになっていたその
幼く懸命に望んだ美しさを
何故だろう
私は今
透明な水のように
譜奏12
夢は叶うか失くすかの
二択
そう考え
見失なわないように
夢を自分を
白く黒くみつめて
私の本当の
血が通う刻を
いつかは同化するものと
希う刻を
そして放たれるように
不意に気がついた
私は夢に
抱きしめられているのだと
譜奏11
誰しもが捨てたがる
自身の中の
脆さと弱さ
その吐息の灰に
埋もれそうな
絶望の夜
しかしと私は思う
この負の起こす陰が
唯一
光を見つめる熱を
人に
私に
与えてくれる一筋の
視光なのかも知れないと
譜奏10