2017年8月30日

長い昼が暗闇に包まれる頃

パステルカラーのブラウスを着た女性とすれ違った

そのすぐあとで

細めのスーツを着た若いサラリーマンが過ぎていった

信号に遮られて立ち止まったわずかな

何も考えないだけの時間

私は息を深く吸って

浅く吐き出しながら

小さな棘のように感じた違和感を

喧騒のない空に向けていた

信号を渡る羊の群れのような列に紛れて

私は不意な憎しみのように浅い音の先を強めて

ねぇどうしてみんな迷子のような顔になっているのと

物言わぬアスファルトに険しい衝動をぶつけていた

 

譜奏108