永遠という言葉を知らない頃
私はこのままずっと生きて
手に持っていた花は
ずっと咲いたままだと思っていた
私はただ元気に溢れたワガママな子供だった
大人になって人を喪くして
教会の葬儀でバラを祭壇に置いた時
私は供えられて並ぶ花の枯れる姿を思い浮かべて泣いた
死の現実が私の精神に宿った痛みだったのだろう
雨に打たれた帰り道
人生は少し自分に誠実さを欠きさえすればそう難しくはないと
私は実を付けない徒花のように弱い顔になって
私の永遠を遠い景色のような距離に置くように
坂下の行き止まりの海に目を落としていた
譜奏104