2017年6月23日

過ぎてきた時間は拒めない

日常音に紛れていないといつまでも

遠い潮騒のように私の耳にまとわりつく

未来との距離も私には同じようにしか思えなかった

足に海水の感触があるまで

ただ歩き続ける

わずかな波音の気配を聴き分けようとしながら

しかし歩いている時の私はいつも

目が塞がれて裸足なのだ

時の縄に引かれて

どんなに心を揺さぶられても抗う力を持たない

嘘のない者のように

帰るべき潮騒に

還る者のように

 

譜奏79