森の中の白霧を彷徨うように生きてきたわたしに
40代に見えると言ったあの男の言葉が生きる道になった
萎んでいくように張りを失くした肌がひどく気になって
男の誘惑から逃げ離れた夜
わたしは夜明けまで泣き明かすしかなかったの
悔しいというよりただ自分を憎んでいたから
アンチエイジングのメニューをマネキン人形のようにこなして
次の秋の夜
わたしはマネキンのままのメイクでシルクのブラウスに胸を包み
あの男と会ったバーラウンジの同じ止まり木にすわっていた
何かが起こるはずはないと知りながら辺りを見回して
そして惜しむような立ち去りたいような霧の中で想った
すべてのことはどうでもいいの
わたしは川のようにオンナを流れていたいだけなのと
譜奏439