2019年10月9日

森の中の白霧を彷徨うように生きてきたわたしに

40代に見えると言ったあの男の言葉が生きる道になった

萎んでいくように張りを失くした肌がひどく気になって

男の誘惑から逃げ離れた夜

わたしは夜明けまで泣き明かすしかなかったの

悔しいというよりただ自分を憎んでいたから

アンチエイジングのメニューをマネキン人形のようにこなして

次の秋の夜

わたしはマネキンのままのメイクでシルクのブラウスに胸を包み

あの男と会ったバーラウンジの同じ止まり木にすわっていた

何かが起こるはずはないと知りながら辺りを見回して

そして惜しむような立ち去りたいような霧の中で想った

すべてのことはどうでもいいの

わたしは川のようにオンナを流れていたいだけなのと

 

譜奏439