金髪になっていたと思って驚いていたら
女は高笑いしながらコレ、ウィッグよと言った
目の周りに柔らかな肉がついて口元が聡明になっていた
前回会った時は確か黒い皮膚のようなサテンのワンピースを着て
胸を半分露わにしていたが今日は一転してふわっとした服装だった
だって外人なんだもん、アメリカ人、背は低いけど
雨の六本木で拾われて彼のオモチャになってたんだけど
気が合っちゃったっていうのかなァ、愛も芽生えちゃったし
聞かれたように答えるいつものパターンが始まっていた
一瞬また妄想の中にいるのかと疑った時
女は素早く私の手を奪って自分のお腹の上に置いていた
ネっ、ほんとでしょ、大現実なのよぅ、撫でてみてったら
そうなんだ良かったね、と私は彼女の痩せたお腹に気づかぬふりで
表情に精一杯の力を込めて微笑み返してみせた
譜奏387