2019年6月3日

大切にしていた宝物が

手をすり抜けていく音を聞いた夜

誰もいない街を歩いたの

湖に沈むように

人は人をみつめて

ただ生きていけばいいって

やさしくささやいた声を

憎みながら

生きることのすべてが

造り物のよう

寂しげに重なった

紫の葉脈さえ

朽ちるを知るかのように奏でし

薔薇のセレナータ

 

譜奏384