2018年10月10日

水に棲むピアスの輝きが消えていくように

ビルの夜灯を写していたガラス窓に雨が落ちて

夜に塞がれた時間が黒い煤のように

私を息苦しくさせる時

私が天使のように振る舞えば

その反動の力で悪魔の欲望が深くなり

深くなった欲望は何かを実行したい衝動に苦しむと

天使はしたり顔で囁いてくる

では私は悪魔を振る舞えばいいということなのだろうか

そういう話になる

人はいつも自分の心とせめぎ合いながら生きていく

その暗がりに胞子を落としたような

天使という悪魔という仮装言葉が

私には壊れにくい玩具言葉にしか思えない

 

譜奏283