2018年8月8日

じっと手を見ていたい時がある

ペンを持ったり鍵を回したり誰かの背を撫でたりする

私の手

何かをつかもうとしてあがき続けてきた

この小さな生き物

目を閉じて顔を触ると自分の心に近づいて

離すと犯した罪を思い出すように温度を失くしていく

辛辣な異形

私はもう気がついている

二度と彷徨うようには生きられないと

そして

望む何かを掴まえているより

その手を放すほうに

より強い力が必要だということを

 

譜奏256