2018年7月13日

人間に心という臓器はない

それをいつも胸に感じるのは

生命の遺伝子にどんな意図があるせいなのだろう

写真化されていく記憶の中で

私は唯一の絵が飾られた回廊を歩く

晩夏

私に行くべき道の言葉を示してくれた人の

私への認識のない夏

空を見上げる彼女の目に夕焼けが映っていた

私はその目に写る美しい夕焼けを見ていた

後日そのままの夕焼けが描かれた彼女の絵に驚いた

そしてその時からその絵は私の心の画廊に飾られた

一枚の絵だけが飾られた私の画廊

その画廊が彼女の眠る家になった

 

譜奏245