2018年5月2日

オモチャのような手動の時計を買って

針をグルグル回して時間を壊して

私は知らないカフェで何も考えない私になろうとしていた

どうして人の感情はスイッチボタンを押すように

切り替えることが出来ないのだろう

人生で起こる出来事は概ね思わせぶりだ

カップを持とうとした時に目に入った不誠実な時間を

私はそんな気持ちでまた右に左に何度も回し続けた

少しの意思も入らないように瞼をしっかりと閉じて

私の指は細くて小さな小動物のようだ

この手で何かを成すことがあるのだろうか

鼓動が揺れて揺れたまま熱を持って

見つけられない何かを探す迷い火のようになって

また私はそんなことをいつの間にか考え始めていた

 

譜奏214