2018年4月18日

私の記憶の中でしなやかな身体を持ち

透明な笑顔を首筋に表していた青年が

萎んだような頬を隠さず私とすれ違った駅を

寂しい想い出を見送るように

私は振り返ったまま見つめていた

歩き出しても心が動けない苦痛を胸に

タイル貼りの歩道を強く蹴り

挑むように出口に向かうと

車の喧騒が襲うように私に迫ってきていた

美しいと思える物はやがて枯れ

透明なものは季節が終わるように濁っていく

そんなつまらないフレーズが私を捕らえる

その声が彼の声のように聞こえて私は振り返り

細くどこまでも続いていそうな階段をただじっと見つめていた

 

譜奏208