思い通りにならない火が水に歪んで見えるように
壊れていても存在価値のある感情への尊厳が
私の胸をいっぱいに占める夜がある
そしてありのままの自分が暴走する自分を
私はじっと耐えるようにみつめるだけになっていく
五線のない譜面を容赦なく動き
苦しそうに吐き出されては刻まれる熱の痕
肉体の主さえ尊重しない
その譜が火の影のように暴れるのは
私に運命付けられた狂気の啓示なのだろうと言い聞かせながら
やがて疲れたように落ちて残骸になる一瞬を
私は苦しみの中で感じ取る
その空間に起こるすべての出来事を
火の器に揺れるようにみつめながら
譜奏165