2020年1月3日

願いの生贄に

永久に視覚を失くす毒と

永久に聴覚を殺す毒のどちらかを選ばなくてはいけないとしたらと

私は蒼の夜をみつめながら自分に問いかけていた

そしてその問いに微睡んだ夢に火をつけた

夢のスクリーンはあっという間に炎に落ちて

私は確認をなぞるように確信して俄かに笑った

私のこの悪魔的な熱は一瞬の集結で火に変わることを

映像が表してくれたことがうれしくてたまらなかったからだ

願いは自身の衝動的な幸福にしか向かわない

その覚悟の無さが悪魔の最も得意とする疑似餌だとも知らずに

真実など無価値なただの出来事に過ぎない

私は願いを捨てて音楽に溺れて生き急ぐと蒼に向かってつぶやいていた

確かな新しい場所へ導かれていく力のようなものを感じていたからだ

 

譜奏476

2020年1月1日

おまえも吸ってみろよと言われて吸うというより吹くようにしてみて

今では完全系のヘビースモーカーの私

初めてのオトコにただ嫌われたくなかっただけだったのに

やさしく誘われると断れないのは母からの遺伝に違いない

そんな母も散々な人生を送って枯れそうな草みたいになって死んでいった

私にはそれを告げる友人もいなかったから泣かなかったの

一つでも自分の何かに自信?みたいなものがあれば

母娘共々こんな風になってないのかもしれないと思って笑うだけよ

でもどうしようもない、結局私はただ待つだけの女なの何かを

貴女はお酒もタバコもやらないのね

何かそれだけですごく清潔感を感じるのは自分と比べたせいよね

でも私、もう一回あの女から生まれてきたら同じだわきっと

行きずりの性でたまたまタンポポの種みたいに命になっただけで

何も無いもの私には

 

譜奏475