元々の相性が悪いと思っていた人だから
しっかりと注意して気を抜かずに話をしていたのだけれど
どうしてワタシだけがこんな風にならなきゃいけないの、的な話を
そこだけは細かく仕分けして連続して聞かされていると
顔を洗う時に失敗して袖口から水道水が腕を伝わってくるような
どんよりとした不快な気分になっていた
この気分は私は本当に苦手だった
あとで必ず自分の心の狭さを思い知らされることになるからだ
私は意を決して何か気の利いたことを言おうと思ったのだけれど
結局視線を和らげて微笑んでみせただけだった
きっと私もどこかで誰かに同じようなことをしている
寸前に心が私にそう言ってくれているような気がしたからだ
そして神?の声は得てしてこういう人の口から
不意に抑揚もなく発せられるのが常だという予感も働いていた
譜奏436