蒼の夜に。
私は最後に会いたい人がいると言った。
その言葉がエメラルドガラスの匣に消えていく。
今一つを願えば他のすべての望みを忘れてしまうことになると。
やさしく窺うようにパンドラは私に微笑みかけて。
夜明けを待たない星光の帯の道を。
白の燐光を纏う幻のように駆け抜けていった。
解決することがすべてじゃない。
自分さえ目を背ける自分の心の卑しさを。
誰に話せるというのだろう。
言葉を失くした口唇裂の唇から風のように漏れた韻律を。
私は最初の哀しみのように聴いていた。
そして胸に返したその風の聲を懸命に聞き取ろうとしていた。
私もたくさん間違って生きてきたことを知っていたから。
譜奏471