蒼の夜 4

蒼の夜に。

私は最後に会いたい人がいると言った。

その言葉がエメラルドガラスの匣に消えていく。

今一つを願えば他のすべての望みを忘れてしまうことになると。

やさしく窺うようにパンドラは私に微笑みかけて。

夜明けを待たない星光の帯の道を。

白の燐光を纏う幻のように駆け抜けていった。

解決することがすべてじゃない。

自分さえ目を背ける自分の心の卑しさを。

誰に話せるというのだろう。

言葉を失くした口唇裂の唇から風のように漏れた韻律を。

私は最初の哀しみのように聴いていた。

そして胸に返したその風の聲を懸命に聞き取ろうとしていた。

私もたくさん間違って生きてきたことを知っていたから。

 

譜奏471