さびしいくらいでちょうど生きてる気がしている
苦しみに沈む時は雨を待てばいいくらいに思っている
悲しみを感じることはほとんどない
誰かの約束を盗んでその約束を守るために生きてもいいと
飛躍した妄想に衝動を覚えたりすることがある
私は私自身が人生のありきたりな光景の中の一つでしかないと感じている
この身体に流れる血でさえ借り物のような気がしているのだから
私は待っている
気まぐれに操り糸を引く人を焦がれる埃っぽいマリオネットのように
運命という訪ね人が近づいてくる足音を
赤信号で止まって青信号に変わって歩き出す日々の多くの無口な制約
顔も内臓も白く透けたように見えていたのかもしれない
夜のバスの窓からありふれた景色のように私を見る人の目が
捨ててきた過去のようにすぐに消える風音の背後を通り過ぎていった
譜奏469