大事にしている人形でもともだちが欲しがっていたら
あげてしまう
買ったばかりの詩集をちょっと貸してと言われて
返してくださいとは言えなくなってしまう
胸が人より膨らみだしたことが気になって
ラインの出にくいふんわり服ばかり着て
恐がるように恋心を閉じ込めようとしてしまう
誰に何かを言われた訳でもないのに
そんな女が海を好きになった夏に恋愛中毒になって
それは降りそそぐ太陽の光のせいだと思い込んで
ときめきにのめり込むように眼差しを一変させて
性に渇くように身体を使い誘惑を食べ
ときめきが薄らぐことだけを怖れる女になる
欲しいと言われたらあげてしまったわたしの人形のように
譜奏247