2017年11月20日

青い音

その表面は絹というよりベルベットのように見える

背景の黒闇がむしろ絹のようだ

私はその青を追い虹彩で触る

ストリングスがしなやかに伸びて

静寂を布のように巻き付けてきて

私に戯れつくように

近づいたり離れたりしている

私と共感覚の音との繋がりは

悲しみの淵で怯えていた壊れた夜から始まっていた

何もかもを赦すやさしい旋律のようにそんな夜は続いていた

羽化したように現れてきた私の意思が

払うようにその布を掴み捨てようとした

白い夜明けを見るまでは

 

譜奏143