2017年6月5日

窓を流れる景色など

私には意味がなかった

私が私の欲望を乗せたこの列車の

座席に座っているという

事実以外には

生まれてからこの瞬間まで

私は変わらない祈りを持ち続けてきた

天が訝るほどに

そして今私は私の終着駅へと向かっている

ホームに降りたら私はゆっくり歩き

やさしく息を吐き階段を上るだろう

凛とさせた背を過ぎし日の私に残して

私だけを乗せる終着駅発の

運命の線路を走る列車に乗り換えるために

 

譜奏71