冬の陽が
私の手を透かしてじゃれる午後
私は
私という主体を失くした後の季節に
この陽を揺らす風になれたらと
誰にともなく微笑んでみせた
思えば私は
私自身さえ懐かしいと思えることが
日常的にある人間だった
不思議とは思わない
特別とも感じない
だって花は花の色で
人は人の形で操られるように
生まれてくるのだから
譜奏62
冬の陽が
私の手を透かしてじゃれる午後
私は
私という主体を失くした後の季節に
この陽を揺らす風になれたらと
誰にともなく微笑んでみせた
思えば私は
私自身さえ懐かしいと思えることが
日常的にある人間だった
不思議とは思わない
特別とも感じない
だって花は花の色で
人は人の形で操られるように
生まれてくるのだから
譜奏62