2017年9月18日

初夏の爽やかな午後

いつものように

お母さんに買ってもらった絵本を見ていた少女には

文字のすべてが絵に見えていた

そしてそのことを少女は

誰にも言わないでいた

お城の森の周りには大きな大きな赤い木がたくさん

青い小川も流れて黄色い花が咲いている

誕生日を知らない少女は

絵本の中の白い空に話しかけて

わたしは悪い子なの

だから大きくなったら

バースデーケーキを作るケーキ屋さんになるのと言って

笑った

 

譜奏116