自分の感情にまっすぐに生きていくことは
実生活の中では最も困難なことの一つだ
正直に勤勉に
誰かからは忘れたがそんなことを教わって大人になった
誰しもがそう実感していると思う
しかし同時に和を乱さずにとも教えられた
人に思いやりを持つようにと
この辺りから怪しくなっていく
冷静に考えればこの二つのロジックは噛み合わない
飛躍しているかもしれないがその捻れに棲みつくのが
人の歴史を支配してきた憎しみの感情なのではと思ってしまう
思慮なく隠し通せる憎しみを飼ってしまったら
人はその不毛な忍耐の奴隷になっていくのではないか
そんな危うさを私はすれ違う見知らぬ人に感じたりしている
譜奏206