2017年10月16日

湖に沈んでいく秒の刻みの壊れた時間

歪んだ硝子の濃淡のように見せる宙に

あるいは湖面の騒ぎに

私は私の生きた時間をカラカラと奏でる映写機の音を

楽しみながら

私の愛した歌を聴きながら

老いを自覚する意識も忘れ

未来に向かうように沈んでいきながら

月の微光だけを頼りに写し出す私から

少しづつ少しづつ

秒の約束の比重の分だけ離れていく

もう私の言葉は水泡にしかならないから

私の人生は美しかったでしょと

月にだけ言って

 

譜奏128