紅筆

―――――名も亡き花にこそ似し

――   ――『紅筆』より

 

抱いていた人形は

息をしないまま私を

みつめていた

気づいた私を

咎めるかのように

私だけの永遠の

夜のように

花のように

ゆるやかに

狂うように

怯えていた

紅に

 

譜奏36