夜の闇に目を開けて天井の四角をめまぐるしく順に見て
止まらない空想を現実に近づけるほどに計画を立てて
空想が現実のような光景になって胸に落ちると
やっと安心して思い出したように眠るような思春期を私は過ごした
ある時は大劇場のバレリーナとして
ある時はスポットライトの中のヴァイリニストとして
今思えば本当に変わった女の子だったと言うしかない
誰しもが一度は夢見る光景を私は現実としてしか考えられなかったのだ
単に私の中の振り子が極端に偏っていただけなのかもしれないけれど
あれから数十年
驚くことに私の空想の振り子はさらに偏って生きる中心核に座している
今日はそんな自分が可笑しくて私はただ笑っていたのだ
明日死ぬなら私の心はきっと微笑んで太陽に向かっていくだろうと思う
たとえ翼を灼かれて堕ちていく天使と同じ運命だとわかっていても
譜奏474