見覚えのある本棚の前に座っていたが
それが度々私に訪れる夢の中でのことだということは分かっていた
そして何故私はここに座っているのかも私は囚人のように知っていた
何度も与えられたシチュエーションで引き出しを開けられない私を
家鳴りが威嚇するように奇声を発している
私は昨日の夢の部屋のドアを再度押して幻のような机をみつめた後
今日こそはと思う気持ちで透けた手を引く
そして鍵がかけられていた日記帳の鍵を殺すように壊し
誰にともなく幻のようにでもなく息を飲む
やはり
体液でなぞったような言葉が這う川のように
いや違う
そこには予め決められたと思える異邦の罪文が
望まれない聖別のように整然と並んでいるだけだった
譜奏412