2019年6月21日

空色に赤いチューリップが描かれたティーカップを見つめ

私はキレイというほとんどの気持ち以外の

ほんの少しの鈍い感情を感じていたが

その感情が言葉に成熟したのは

そのことをすっかり忘れていた大人になってからのことだった

扇情的

私はあの可愛いカップを扇情的と感じていたのだ

花は女性たちが着る艶やかな服とそして化粧にも似ている

露わに言えば私はそこに性の香りを感じていたのだ

旅人の目を引き止めなければ生きられない

ジプシーの女の夜のように

私はあの日のミステリアスな気持ちが言葉になったことを悔やんだ

それは私の奥で蠢いていた鼓動のようなものが

何かに認められたように暴れ出すような気がしていたからだ

 

譜奏392