空色に赤いチューリップが描かれたティーカップを見つめ
私はキレイというほとんどの気持ち以外の
ほんの少しの鈍い感情を感じていたが
その感情が言葉に成熟したのは
そのことをすっかり忘れていた大人になってからのことだった
扇情的
私はあの可愛いカップを扇情的と感じていたのだ
花は女性たちが着る艶やかな服とそして化粧にも似ている
露わに言えば私はそこに性の香りを感じていたのだ
旅人の目を引き止めなければ生きられない
ジプシーの女の夜のように
私はあの日のミステリアスな気持ちが言葉になったことを悔やんだ
それは私の奥で蠢いていた鼓動のようなものが
何かに認められたように暴れ出すような気がしていたからだ
譜奏392