2019年5月6日

淋しげな細い雨

私の傘に

言葉のように落ちて

セピア色の悲しい映画のように

一瞬の過去になっていく

南に歩いていけば

潮騒が聴こえてくるはずと

私の中のカモメがまた

私に嘘をつく夜

錆びついた古い鍵の形が

ゆっくり冷めていく珈琲のように

曖昧な苦さで

私の胸に流れていくの

ただ灼かれてしまうほどに

 

譜奏372