2018年9月17日

偏った面にしか視界を持たない主体が知りえるものは

すごく似ているように見えて全然違う多くの事だ

人を惑わし苦しめ成長させる徒の花群れの

その景色の根が持っている毒も

陽光の陰で養分として濾過されていく時間に支配されている

少し近づき過ぎていた目を遠ざけてみれば

生きるという行ないは一過性の点ではなく

一筋縄ではいかない愛嬌者の表情を見せながら

こちらを覗き込んでくる自身の一面に過ぎないと解る

律儀な規則のように上下に動き振動しては止まり流れる

それぞれでしかないそれぞれの生き形の波形

その波に美しい踊線を現したいと希うわたしが

もう単なるプログラムのような一コマの哀しみなどで

忘れられていく恐れのために泣く夜はない

 

譜奏273