偏った面にしか視界を持たない主体が知りえるものは
すごく似ているように見えて全然違う多くの事だ
人を惑わし苦しめ成長させる徒の花群れの
その景色の根が持っている毒も
陽光の陰で養分として濾過されていく時間に支配されている
少し近づき過ぎていた目を遠ざけてみれば
生きるという行ないは一過性の点ではなく
一筋縄ではいかない愛嬌者の表情を見せながら
こちらを覗き込んでくる自身の一面に過ぎないと解る
律儀な規則のように上下に動き振動しては止まり流れる
それぞれでしかないそれぞれの生き形の波形
その波に美しい踊線を現したいと希うわたしが
もう単なるプログラムのような一コマの哀しみなどで
忘れられていく恐れのために泣く夜はない
譜奏273