今日
都会では珍しい白い鳥が飛んでいるのを見た
私はその名前を知らない
そう思った時
その回路の先に懐かしい感情を置き忘れていたことを思い出した
ある日初めて夢というオーロラを見上げながら
私が感じていたのは希望というものではなかった
ただ私はこの夢が何の痕跡もなく消える日のことを恐れたのだ
得ることより失うことに過敏な私を嗤うように
根を探れない暗室のような部屋に切れ落ちた音が
無地の栽落のように反応して
私自身さえ写せない感光板のように
不機嫌な銀溶液に小さく
悲しいリズムのように揺れていた
譜奏191